遊離歯肉移植術

遊離歯肉移植術は、歯ぐきの厚みが不足している場合や、付着歯肉と呼ばれる動かない歯ぐきが少ない場合に検討される治療です。歯ぐきが薄い状態では、歯磨きの際に出血しやすく、炎症が起こりやすくなります。歯ブラシが軽く当たるだけで痛みが出ることもあり、日常の清掃が難しくなることがあります。

このような状態に加えて、次のようなケースでも選択肢となります。

矯正治療後に歯ぐきが薄くなった方

歯の移動によって歯ぐきが下がりやすくなることがあり、その改善を目的として行われます。

インプラント周囲の歯ぐきが不足している方

インプラントの周囲組織を安定させるために、歯ぐきの厚みを補う必要がある場合に適しています。

歯肉退縮が進行している方

歯ぐきが下がることで歯の根元が露出し、将来的な歯周病リスクが高まることがあるため、早めの対応が望まれることがあります。

遊離歯肉移植術を行うことで、歯肉の厚みが増し、丈夫な歯周組織が形成されます。これにより歯磨きがしやすくなり、炎症や出血が減少します。歯肉が安定することで、歯周病の進行を防ぎ、歯の寿命を延ばすことにもつながります。

インプラント治療を予定されている方にとっては、移植によって歯肉の質が向上し、インプラント周囲の環境が整います。矯正治療後の歯肉退縮を防ぐ効果も期待でき、治療後の状態を長く維持することが可能になります。

審美的な面でも改善が見られます。歯肉のラインが整うことで、見た目の印象が良くなり、自信を持って笑顔を見せられるようになります。機能面と審美面の両方から、お口の健康をサポートする治療と言えるでしょう。

ご自身の組織を使用するため、拒絶反応の心配がほとんどない 

移植した歯ぐきは周囲と自然に馴染み、本来の歯肉と同じように働きます。

生体適合性が高く、長期的に安定しやすい 

人工材料を使わないため、身体への負担が少なく、長く維持されることが期待できます。

歯周病の予防に役立つ 

厚みのある歯ぐきは細菌の侵入を防ぐ役割を持ち、炎症のリスクを下げる働きがあります。

歯磨きの刺激に強くなる 

歯ぐきがしっかりすることで、日々の清掃が行いやすくなり、健康状態を保ちやすくなります。

将来の治療の選択肢が広がる 

インプラントや補綴治療を行う際、土台となる歯ぐきが整っていると成功率が高まりやすくなります。

術後に腫れや痛み、出血が出ることがある 

特に組織を採取した部位では、食事や会話の際に違和感が続く場合があります。

回復までに時間がかかることがある 

完全に落ち着くまで数週間ほどかかることがあり、個人差があります。

移植した歯ぐきが馴染むまで生活に制限が生じる 

食事内容や歯磨きの方法に注意が必要で、強い刺激を避ける期間があります。

喫煙は治りを遅らせる可能性がある 

傷の回復に影響するため、できるだけ控えていただくことを推奨します。

費用が保険適用か自費かは症例によって異なる 

治療前に詳しくご説明しますので、費用面で不安がある場合は遠慮なくご相談ください。