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噛み合わせの不調が引き起こす10の健康問題と改善法

2025.12.04

噛み合わせの不調が全身に及ぼす影響とは

噛み合わせの問題は、単に歯並びの見た目だけの問題ではありません。実は全身の健康に深刻な影響を及ぼす可能性があるのです。日々の診療で多くの患者さんを診てきた経験から、噛み合わせの不調が様々な身体の不調につながることを実感しています。

噛み合わせが悪いと、顎の関節や筋肉に過度な負担がかかります。その結果、顎関節症をはじめとする口腔内の問題だけでなく、頭痛や肩こり、腰痛など全身に症状が現れることがあるのです。

噛み合わせの不調は、顎関節に不自然な力がかかり続けることで、それが神経や筋肉を通じて全身に影響を及ぼします。特に頭蓋骨と顎の位置関係が崩れると、首や肩の筋肉が緊張し、姿勢にも影響が出てくるのです。

私が日々の臨床で特に注目しているのは、噛み合わせの問題が自律神経系にも影響を与える点です。顎関節周辺には多くの神経が集中しており、ここでの不調が自律神経のバランスを崩し、様々な全身症状につながることがあります。

噛み合わせ不調が引き起こす10の健康問題

噛み合わせの不調は、実に多岐にわたる健康問題を引き起こします。ここでは特に頻度が高く、深刻な影響を及ぼす10の健康問題について詳しく解説します。

これらの症状に心当たりがある方は、噛み合わせが原因となっている可能性があります。早めに歯科医師への相談をおすすめします。

1. 顎関節症

噛み合わせの不調が最も直接的に影響するのが顎関節症です。顎を動かす際に「カクカク」という音がしたり、口を大きく開けられなくなったりします。

顎関節症は、噛み合わせが悪いことで顎関節に過度な負担がかかることが主な原因です。特に、偏った噛み合わせが続くと、顎関節の動きがスムーズでなくなり、痛みを伴うようになります。

私の臨床経験では、顎関節症の患者さんの多くは、長期間にわたる噛み合わせの不調を放置してきた方が多いです。初期症状としては軽い違和感程度ですが、進行すると日常生活に支障をきたすほどの痛みを伴うこともあります。

2. 頭痛・偏頭痛

噛み合わせの問題は、慢性的な頭痛や偏頭痛の原因となることがあります。特に朝起きた時の頭痛や、日中に断続的に続く頭痛は、噛み合わせとの関連が疑われます。

噛み合わせが悪いと、咀嚼筋(噛むための筋肉)が過度に緊張します。この緊張が側頭筋にまで及ぶと、頭痛を引き起こすのです。また、顎関節の問題が三叉神経を刺激し、偏頭痛のトリガーとなることもあります。

頭痛薬を常用しているにもかかわらず改善しない頭痛がある場合は、噛み合わせを疑ってみる価値があります。歯科医院での噛み合わせ検査で原因が特定できることもあるのです。

3. 肩こり・首の痛み

噛み合わせの不調は、首や肩の筋肉の緊張を引き起こし、慢性的な肩こりや首の痛みの原因となることがあります。

噛み合わせが悪いと、無意識のうちに頭の位置を調整して噛み合わせを補おうとします。その結果、首や肩の筋肉に過度な負担がかかり、慢性的な緊張状態が続くのです。

私の診療では、長年肩こりに悩まされてきた患者さんが、噛み合わせの治療後に症状が改善したケースを数多く経験しています。特に、マウスピースなどを用いた噛み合わせの調整は、肩こりの改善に効果的なことが多いです。

4. 耳の症状(耳鳴り・めまい)

顎関節は耳のすぐそばにあるため、噛み合わせの問題が耳の症状を引き起こすことがあります。耳鳴りやめまい、耳の閉塞感などが代表的な症状です。

顎関節の異常が内耳の三半規管に影響を及ぼし、めまいを引き起こすことがあります。また、顎関節の炎症が耳管に波及して、耳鳴りや聴力低下を引き起こすケースもあります。

耳鼻科で異常が見つからないにもかかわらず、耳の症状が続く場合は、噛み合わせの問題を疑ってみる価値があります。歯科医院での検査で原因が特定できることもあるのです。

5. 睡眠障害

噛み合わせの不調は、睡眠の質に大きな影響を与えることがあります。特に、睡眠時の歯ぎしりや食いしばり(ブラキシズム)は、噛み合わせの問題と密接に関連しています。

噛み合わせが悪いと、無意識のうちに歯ぎしりや食いしばりが増加し、睡眠の質が低下します。また、顎の痛みや不快感が原因で、寝つきが悪くなったり、夜中に目が覚めたりすることもあります。

睡眠時無呼吸症候群と噛み合わせの問題には関連性があることも分かってきています。下顎が後方に位置する噛み合わせの場合、気道が狭くなりやすく、睡眠時無呼吸のリスクが高まることがあるのです。

6. 消化器系の問題

噛み合わせが悪いと、食べ物を十分に咀嚼できず、大きなまま飲み込むことになります。これが消化器系に負担をかけ、様々な問題を引き起こす可能性があります。

咀嚼は消化の第一段階です。食べ物を細かく砕き、唾液と混ぜることで、胃での消化を助けます。噛み合わせが悪いと、この過程が不十分となり、胃腸に負担がかかるのです。

慢性的な胃もたれや消化不良、胸やけなどの症状がある場合は、噛み合わせの問題が関与している可能性があります。噛み合わせを改善することで、これらの消化器系の症状が軽減することもあるのです。

7. 姿勢の悪化

噛み合わせと姿勢は密接に関連しています。噛み合わせの不調は、頭の位置を変え、それに伴って全身の姿勢にも影響を及ぼします。

噛み合わせが悪いと、顎の位置を調整するために頭が前に出る「フォワードヘッドポスチャー」と呼ばれる姿勢になりやすくなります。これが肩の丸まりや背中の湾曲、腰の反りなど、全身の姿勢バランスの崩れにつながるのです。

姿勢の悪化は、単に見た目の問題だけでなく、筋肉や関節への負担増加、呼吸機能の低下など、様々な健康問題を引き起こします。噛み合わせの改善が、姿勢の改善にもつながることが多いのです。

8. 運動機能の低下

噛み合わせの問題は、全身の筋肉バランスに影響を及ぼし、運動機能の低下を引き起こすことがあります。

顎の位置は、全身の筋肉の連動性に影響します。噛み合わせが悪いと、筋肉の連動性が低下し、運動効率が落ちるのです。特にプロアスリートなど、身体能力が重要な方にとっては、噛み合わせの問題が競技パフォーマンスに直結することもあります。

実際に、スポーツ選手の中には、マウスピースで噛み合わせを調整することで、パフォーマンスが向上したという例も少なくありません。噛み合わせの調整が、全身の筋力バランスの改善につながる可能性があるのです。

9. 精神的ストレスの増加

噛み合わせの不調は、精神的なストレスを増加させることがあります。常に顎に違和感や痛みを感じることで、無意識のうちにストレスレベルが上がるのです。

また、噛み合わせの問題が原因で起こる頭痛や肩こり、睡眠障害などの身体症状が、さらにストレスを増幅させる悪循環を生み出すこともあります。

噛み合わせの改善によって、これらの身体症状が軽減されると、精神的なストレスも軽減されることが多いです。全身の緊張がほぐれ、リラックスした状態を取り戻せるのです。

10. 顔のゆがみ・審美的問題

噛み合わせの不調は、顔の筋肉バランスに影響を及ぼし、顔のゆがみや非対称性を引き起こすことがあります。

片側だけで噛む癖がある場合、その側の咀嚼筋が発達し、顔の左右非対称が目立つようになることがあります。また、噛み合わせの問題で顎の位置がずれると、顔全体のバランスが崩れることもあるのです。

噛み合わせの改善は、顔の筋肉バランスを整え、顔の対称性を取り戻すことにつながります。特に若い方では、噛み合わせの早期改善によって、顔の成長発育のバランスを整えることができる可能性があるのです。

噛み合わせの不調を改善する方法

噛み合わせの不調による健康問題を改善するためには、適切な治療法を選択することが重要です。ここでは、噛み合わせの不調を改善するための主な方法について解説します。

噛み合わせの問題は一人ひとり異なるため、歯科医師による適切な診断と、個々の状態に合わせた治療計画が必要です。

1. 歯科医院での噛み合わせ診断

噛み合わせの問題を改善するためには、まず専門的な診断を受けることが重要です。歯科医院では、様々な方法で噛み合わせの状態を評価します。

咬合紙という特殊な紙を噛んでもらい、上下の歯がどのように接触しているかを確認します。また、顎の動きや筋肉の状態、顎関節の音などもチェックします。

より詳細な診断が必要な場合は、歯型を取って作製した模型の分析や、顎の動きを記録する装置(咬合器)を用いた検査、レントゲンやCTによる顎関節の画像診断なども行います。

2. マウスピース療法

噛み合わせの不調を改善する方法として、マウスピース療法が広く用いられています。これは、個々の歯列に合わせて作製した特殊なマウスピースを装着することで、噛み合わせを調整する方法です。

マウスピースには、顎関節の負担を軽減するナイトガード、歯ぎしりや食いしばりを防止するスプリント、顎の位置を適切に誘導するリポジショニングアプライアンスなど、様々な種類があります。

マウスピース療法は、非侵襲的で可逆的な治療法であるため、まずはこの方法から始めることが多いです。特に、顎関節症の症状がある場合や、歯ぎしり・食いしばりが強い場合に効果的です。

3. 咬合調整

咬合調整は、歯の表面を少し削って噛み合わせのバランスを整える方法です。歯の当たり方が強すぎる部分や、噛み合わせの妨げとなっている部分を調整します。

咬合調整は、専門的な知識と技術を持った歯科医師が慎重に行う必要があります。一度削った歯は元に戻らないため、必要最小限の調整にとどめるのが原則です。

軽度の噛み合わせの不調であれば、咬合調整だけで改善することもあります。しかし、より複雑な問題の場合は、他の治療法と組み合わせて行うことが多いです。

4. 歯科矯正治療

歯並びの問題が噛み合わせの不調の原因となっている場合は、歯科矯正治療が効果的です。矯正装置を用いて歯を少しずつ動かし、理想的な歯並びと噛み合わせを実現します。

矯正治療には、従来のワイヤー矯正から、目立ちにくいマウスピース矯正まで、様々な選択肢があります。治療期間は個人差がありますが、通常1〜3年程度かかることが多いです。

矯正治療は、見た目の改善だけでなく、噛み合わせの機能改善にも大きな効果があります。特に、顎の骨格的な問題がある場合は、成長期に早期治療を行うことで、より効果的に改善できることもあります。

5. 補綴治療(被せ物・詰め物・入れ歯など)

歯の欠損や、大きく崩れた歯がある場合は、補綴治療によって噛み合わせを回復することが必要です。

被せ物(クラウン)や詰め物(インレー)を適切な形態で作製することで、噛み合わせのバランスを整えることができます。また、失った歯がある場合は、ブリッジや入れ歯、インプラントなどで補うことで、噛み合わせの機能を回復します。

補綴治療を行う際は、単に失った歯の形を再現するだけでなく、全体の噛み合わせのバランスを考慮した設計が重要です。適切な噛み合わせの高さや接触関係を実現することで、顎関節への負担を軽減し、快適な咀嚼機能を取り戻すことができます。

6. 顎関節症の専門的治療

噛み合わせの不調が顎関節症を引き起こしている場合は、顎関節症に特化した専門的な治療が必要となることもあります。

顎関節症の治療には、マウスピース療法や咬合調整に加え、理学療法(顎のストレッチや運動療法)、薬物療法(消炎鎮痛剤や筋弛緩剤の服用)、行動療法(ストレス管理や悪習慣の改善)などが含まれます。

重度の顎関節症の場合は、顎関節腔洗浄療法や関節鏡視下手術など、より専門的な治療が必要となることもあります。顎関節症の歯科医師との連携が重要になるでしょう。

噛み合わせの不調を予防するための日常習慣

噛み合わせの不調を予防するためには、日常生活での習慣や注意点も重要です。ここでは、噛み合わせの健康を維持するための日常習慣について解説します。

これらの習慣を取り入れることで、噛み合わせの不調を予防し、全身の健康維持にもつながります。

1. 正しい姿勢の維持

姿勢と噛み合わせは密接に関連しています。猫背や前かがみの姿勢は、顎の位置を前方に押し出し、噛み合わせに悪影響を及ぼします。

デスクワークが多い方は、定期的に姿勢をチェックし、背筋を伸ばす習慣をつけましょう。また、スマートフォンやタブレットを見る際も、首を極端に前に曲げる姿勢は避けるようにしてください。

正しい姿勢を維持することで、顎への不自然な負担を減らし、噛み合わせの不調を予防することができます。特に、長時間同じ姿勢を続ける場合は、定期的に軽いストレッチを行うことをおすすめします。

2. バランスの良い食生活

噛み合わせの健康を維持するためには、バランスの良い食生活も重要です。特に、噛みごたえのある食品を意識的に取り入れることで、顎の筋肉をバランスよく使うことができます。

現代の食生活は柔らかい食品が多く、顎を十分に使わないことが噛み合わせの不調の一因となっています。野菜や根菜類、きのこ類など、ある程度の噛みごたえがある食品を積極的に取り入れましょう。

また、片側だけで噛む癖がある方は、意識的に左右均等に噛むよう心がけてください。これにより、顎の筋肉バランスを整え、噛み合わせの不調を予防することができます。

3. 歯ぎしり・食いしばりの対策

無意識の歯ぎしりや食いしばりは、噛み合わせに大きな負担をかけます。特にストレスが多い現代社会では、この問題を抱える方が増えています。

日中は、「上の歯と下の歯が接触していない状態」を意識することが大切です。リラックスした状態では、上下の歯は軽く離れているのが自然な状態です。「歯と歯が接触していないか」を定期的にチェックする習慣をつけましょう。

夜間の歯ぎしりや食いしばりが強い場合は、歯科医院でナイトガードを作製してもらうことをおすすめします。これにより、歯や顎関節への負担を軽減することができます。

4. 定期的な歯科検診

噛み合わせの不調を早期に発見し、対処するためには、定期的な歯科検診が欠かせません。

歯の治療や被せ物の調整、歯並びの変化などによって、噛み合わせは少しずつ変化していきます。半年に一度程度の定期検診で、噛み合わせの状態をチェックしてもらうことで、問題が大きくなる前に対処することができます。

また、自覚症状がなくても、噛み合わせの不調が進行していることもあります。定期検診では、専門家の目で噛み合わせの状態を評価してもらうことが重要です。

まとめ:噛み合わせと全身健康の深い関係

噛み合わせの不調は、単なる歯の問題ではなく、全身の健康に大きな影響を及ぼします。顎関節症や頭痛、肩こり、姿勢の悪化など、様々な健康問題の原因となる可能性があるのです。

噛み合わせの問題は、早期発見・早期治療が重要です。違和感や痛みを感じたら、歯科医師に相談することをおすすめします。適切な診断と治療によって、噛み合わせの不調を改善し、全身の健康を取り戻すことができます。

また、日常生活での正しい姿勢の維持やバランスの良い食生活、歯ぎしり・食いしばりの対策、定期的な歯科検診など、予防的な取り組みも大切です。

噛み合わせは、全身の健康の土台となる重要な要素です。「より多くの人ができるだけ長く、食べたいものを食べたいだけ、美しい歯と笑顔と共に人生を過ごしていけるように」という当院の理念のもと、患者さん一人ひとりの噛み合わせの健康をサポートしていきたいと考えています。

噛み合わせに関するお悩みがありましたら、ぜひ一度ご相談ください。専門的な診断と、あなたに合った治療法をご提案いたします。

詳しい情報や診療内容については、三宅歯科クリニック自由が丘のウェブサイトをご覧ください。あなたの健康な噛み合わせと笑顔をサポートいたします。

院長・歯科医師

三宅 甲太郎Kotaro Miyake

お困りの際はぜひ私たちにご相談いただけたらと思います。必ずお力になれると考えております。

認定医・資格

日本顎咬合学会かみあわせ認定医

所属学会

日本歯周病学会
日本口腔インプラント学会
日本顎咬合学会
AO(米国インプラント学会) 日本ヘルスケア歯科学会

勉強会

スタディーグループ赤坂会理事
東京SJCD CMS

パーソナル情報

血液型:A型
出身地:東京都
趣味・特技:ダイビング、スキー、スノーボード、旅行
好きな食べ物:生がき

記事監修医師

三宅 甲太郎 院長
三宅 甲太郎 院長 三宅歯科クリニック 自由が丘